小室進行のコード一覧とアレンジパターンを4つ解説!
2018/11/21
小室哲哉さんが多用しているコード進行から名前がついた「小室進行」。
作曲家の間では「三大進行」の1つに数えられており、今でもアニメソングやボカロ曲を中心によく耳にします。
今回は曲作りを始めたばかりの方向けに「曲のキーごとの小室進行一覧」、また小室進行にマンネリ化してきた方向けに「アレンジパターン」を4つ用意しました。
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小室進行のコード進行一覧
小室進行をコード譜だけで説明しても分かりづらいと思ったので、MIDI打ち込み画面とMP3音源を用意しました。
小室進行の基本はⅥm⇒Ⅳ⇒Ⅴ⇒Ⅰ
ローマ数字で言われてもよく分からない方もいると思うので、Cを基調としたコード表記にすると「Am⇒F⇒G⇒C」になります。
Ⅵ(6)m⇒Ⅳ(4)⇒Ⅴ(5)⇒Ⅰ(1)、()の数字を見ていただければ分かる通り、Cを1としたときに音階を表しています。
6はA(ラ)、4はF(ファ)、5はG(ソ)、1はC(ド)ですよね?
ベースに関しては「Am⇒F⇒G⇒C」それぞれの構成音の基音「ラ・ファ・ソ・ド」を打ち込んでいきます。
注意してほしいのは、最後の「C」コードで、「A1⇒F1⇒G1⇒C1」ではなく「A1⇒F1⇒G1⇒C2」になるという点です。
何が言いたいのか簡単に説明すると、「ソ」から「ド」へ音階が下がるのではなく、1オクターブ上の「ド」へ上がります。
ピアノ音源を用いてコードを実際にコードを打ち込んでみました。
MIDI画面のスクショを上に貼り付けたので、作曲始めたての方は画像を見ながら打ち込んでみてください。
MP3音源を再生してみて「あ、何か聞いたことある」と思った方は結構いるんじゃないでしょうか?
これが小室進行の基本「Am⇒F⇒G⇒C」です。
Ⅵm⇒Ⅳ⇒Ⅴ⇒Ⅰ⇒V/Ⅶパターンも頻繁に使用されている
Am(ラ)⇒F(ファ)⇒G(ソ)⇒「C(ド)⇒B(シ)」
C⇒Bと落ちるパターンは、シティーハンターのOP曲である「Get Wild」などで使われています。
先ほどのCコードで終わるパターン(Am⇒F⇒G⇒C)よりも、Bに下がることによって「Amへの安着」が生まれるのです。
上記MIDI画面を見ていただければ分かると思いますが、CとAmの間に「B」を挟むことによって、滑らかな階段のようになっていますよね?
作曲用語でいうとBは「経過音」と呼ばれており、CからAmへと気持ちよく繋げるためのコードとなるのです。
Am⇒F⇒G⇒C⇒G/B
ベースではCからBへと進行しましたが、ピアノやギターなど曲を彩る楽器は「Gコード」を鳴らします。
作曲用語で説明すると「G on B(Bの上にGが乗っている)」という分数コードを使用しており、Gコードを鳴らしつつ、低音域(ベース)はBコードを鳴らせるという手法です。
上のMP3音源を再生していただくと、ピアノがG、ベースがBをそれぞれ奏でていることが分かるはずです。
曲のキーごとの小室進行一覧
曲のキーがCの場合「Am⇒F⇒G⇒C」のままでいいですが、GやDの場合では変わってきますよね?
なので初心者さんにも分かりやすいように、小室進行をキーごとに分けたコード一覧を載せてみることにします。
Bm⇒G⇒A⇒D⇒A/C♯
Cm⇒A♭⇒B♭⇒E♭⇒B♭/D
Dm⇒B♭⇒C⇒F⇒C/E
Em⇒C⇒B⇒G⇒B/F♯
Fm⇒D♭⇒E♭⇒A♭⇒E♭/G
G⇒E♭⇒F⇒B♭⇒F/B
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小室進行のアレンジパターン
Ⅵm⇒Ⅳ⇒Ⅴ⇒Ⅰ(Am⇒F⇒G⇒C)をずっと繰り返すのも曲としては十分アリですし、それで成立してる名曲もたくさん存在しています。
ただクリエイターとしてはやはり、人と似たような曲を作りたくないですよね?
ここでは曲作りの幅を広げるために、小室進行を軸としたアレンジパターンを紹介しますので、ぜひ自分の作品に生かしてください。
1:セブンスコードでジャジーっぽさを演出する
「Am7⇒F7⇒G7⇒C⇒G7」
ボサノバやジャズなどに多用されている「セブンスコード(7)」を取り入れたパターンです。
音源を聞いていただくと「大人っぽくて落ち着いたジャジーな雰囲気」が伝わるかと思います。
4音目が加わることによって音の厚さが増し、中音域がしっかりと響くだけではなく、何度もループさせたとしても聞き手にとって飽きづらいのが特徴です。
また、コード進行をよく見ると「C7」ではなく「C」が使われていることに気づくと思います。
Cコードを使用している理由は単純で、C7の構成音であるド・ミ・ソ・シの「シ」の音が高すぎて、キンキンと耳障りになってしまうからです。
2:ナインスコードで味付けパターン
Am7⇒F9⇒⇒G7⇒C⇒G7
前述したセブンスコードとほとんど一緒で違いが分かりづらいと思いますが、「F7」が「F9」へと変わっています。
9がつくコード、音楽用語で「ナインスコード」と呼ばれており、5つの音が成り立っている和音です。
上記MIDI画面を見ると、IVの位置に「ファ・ラ・ド・ミ・ソ」が打ち込まれているのが分かるはずです。
全部ナインスコードして「Am9⇒F9⇒G9⇒C9⇒G9にしちゃだめなの?」という質問がありますが。下記にMP3音源を用意したので1度聞いてみてください。
ナインスコードだけの進行はアリといえばアリですが、5つの和音が常になっている状態なので、コード進行に起伏がなく、これはこれで単調な印象を持ってしまいます。
また音が重なりすぎており、メロディーや他楽器の組み合わせ次第では不協和音が生じてしまう可能性も高いです。
塩コショウで味を整えるように、ナインスコードはコード進行における「調味料」と思っていただければOKです。
3:分数コードを使用するパターン
Am/E⇒F⇒G/D⇒C⇒G/B
基本的な小室進行に分数コードを挟んでみたパターンです。
聞いていただければ分かる通り、Am/E、G/D、G/B、それぞれの分母コードをベースやピアノの低音域がに演奏しています。
4:経過音やAdd9コードを取り入れたパターン
Am⇒F⇒E⇒Gadd9⇒Am7⇒G9
もはや小室進行とは呼べないかもしれませんが、IVの位置である「F」コードを分割して「F⇒E」(IV-Ⅲ)という動きを加えたパターンです。
本来Gadd9コードは、音階順に「ソ・シ・レ・ラ」ですが、上記MIDI譜では「ラ」を1オクターブ下げて鳴らせています。
理由は、1オクターブ上げた状態で「ラ」を鳴らせてしまうと、音階が高すぎてコード進行に不自然さが生まれてしまうからです。
また、わざわざF⇒Eへと進行を下げている理由も分からないかと思います。
これは次のGコード「ソ」への繋がりをスムーズにさせるために、Eコードの構成音「G♯(ソ♯)」が経過音として重要な役割を果たすからです。
小室進行と同じく、三大進行の1つ「王道進行」についてもこちらの記事で詳しく解説しています⇒「王道進行のアレンジ5パターンを覚えて作曲の幅を広げよう!」
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